
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため行われるロックダウン(都市封鎖)。人々や企業の活動を強制的に制限するロックダウンは、感染拡大防止に有効な手段ではあるものの、実際にはさまざまな手段で外出する人が後を絶たない。
外出を防ぐために逮捕や罰金などの処罰を行われている国もある中、インドネシアが行った一風変わった罰が話題になっている。
隔離先は「幽霊屋敷」
2億6000万人の人口を抱えるインドネシアは、人口密集率の高い大都市もあり、新型コロナウイルスの感染拡大を警戒。4月10日からは、首都ジャカルタをはじめとする主要都市では、職場での就労禁止など、不要不急の外出が禁じられる大規模な社会制限が実施されている。
ジャワ島のスラゲン県では、他の場所から移動してきた人に14日間の自主隔離を義務付けている。しかし、都市部から流入して来る人の中にはこの指示に従わない人も多い。
そこでスラゲン県のクシュディナール・ウントゥング・ユニ・スコワティ知事は、自主隔離に違反した人に対して、「幽霊が出る」と恐れられている廃墟に収容するように指示を行った。
『The Jakarta Post』によると、これまで5人が収容されているという。
違反者も素直に反省
「無人で幽霊が出るという屋敷があるなら、そこに違反した人を閉じ込めておく」と、AFPの取材に答えるスコワティ知事。
セパット村では、長い期間放置されていた廃墟に、違反者3人を収容。廃墟の中に適切な間隔を置いてベッドを配置し、間をカーテンで仕切る。規律違反者は、この不気味な空間で自主隔離の期間を過ごさなくてはならない。
またプルプ村でも、田んぼの真ん中にあるお化けが出ることで知られている廃墟に、違反者2人を収容した。現代でも民間伝承が大きな影響を持っているインドネシアでは、幽霊などの怪奇現象も多くの人に信じられているようだ。
セパット村の廃墟に隔離された、スマトラ島から来たヘリ・スサントさんは「これはみなさんの安全のためであることは分かっています」と語る。なお、スサントさんは現在のところ、廃墟の中で幽霊の姿は見ていないという。ただし、「何が起きても、起きたことは起きたこと」というコメントを付け加えている。
仲田拓也
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