吉村駿
(26日、高校野球選手権大会準々決勝 京都国際3-2敦賀気比)
京都国際の松本陸君(3年)は、常に全力疾走だ。一塁コーチで出場した26日の敦賀気比戦でも、コーチスボックスまでのわずかな距離をダッシュ。小牧憲継(のりつぐ)監督も「ここまでの野球小僧は初めて」と舌を巻くひたむきさが、チームの快進撃を支える。
「レベルの高い高校で甲子園に」と大阪府内から入学したが、先輩には上野響平選手(日本ハム)や釣(つり)寿生(じゅい)選手(オリックス)らタレントぞろい。見たことがない打球の速さや強肩に「やっていけるのか」と不安を覚えた。
技術はすぐに追いつけない。「まずは姿勢から」。入学直後から仲間が帰った後もグラウンドに残った。午後8時半から約2時間、素振りをしたり、仲間にノックを打ってもらったり。雪が降る日は手袋をはめて毎日取り組んだ。「少しでも上手になると思うとワクワクして、だんだん練習にのめり込んでいった」
ただ「練習しすぎた」と思うこともあった。午後10時半に寮に戻ると、仲間は食事を終えており、ご飯が残ってなかったこともあった。体が硬くなり、今年5月には小牧監督から「自主練習禁止令」も食らった。
それでも「姿勢に好不調はない」と一塁コーチの位置までいつも全力で走った。審判から「ナイスラン」と褒められるだけでなく、「あわてなくても大丈夫」と言われたことも。
姿勢だけではベンチに入れないことも知っている。今春の選抜大会は記録員だった。試合に出るとすれば「自分は代打しかない」と、夏に向けて打撃中心の自主練習を重ねてきた。甲子園に「代打、松本君」とアナウンスが響くことを想像しながら。
敦賀気比戦も代打に呼ばれることはなかったが、サヨナラ勝ちに跳び上がって喜んだ。
また試合ができる。(吉村駿)
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