Pages

Monday, March 20, 2023

堀井美香さん、“沖に出る”タイミングを教えてください!|ウートピ - ウートピ

trigerana.blogspot.com

昨年3月に50歳でTBSを退社し、フリーランス人生がちょうど1年経った、堀井美香さん。

今年2月には、初の書著『一旦、退社。 50歳からの独立日記』を大和書房から上梓しました。

本書では、働くことについて、美容について、ノースリーブについて、ヒールについて、車について、朗読についてなどが、真摯に、かつ自由に書き綴られています。

「私は平凡、普通」とつねづね語っている堀井さんの魅力に迫ります。(全3回の第3回)

好きなことを選択し続けていく

——堀井さんのすごいところは、進んでいった先に道ができることですよね。1995年にTBSに入社後、駆け出しの2年目で出産して育休をとって復帰って、当時の女性アナウンサーではあまり例がなかったと思うのですが、堀井さんはやってのけてしまう。そして27年勤めあげてフリーという大海原へ……かっこいいです。

堀井美香さん(以下、堀井):若いときに出産して、復帰して仕事をバリバリやる時期があって、50になって自由になって、すごい良いやり方したよねと言っていただくこともあるんですけど、「こういう人生を送りたい」と、このキャリアを目指して緻密に動いてきたわけじゃないんですよ。蓋を開けてみたらこうだったっていうだけで。

ライフイベントとか、自分に起こる出来事って思わぬことばかりだから、20代のころに30、40の自分を約束することなんてできないと思うんです。だから本当に「その日その日を一生懸命生きていたらこんなんなってました!」という感じですね。たいていの人は、いろんな回り道をしたり何か予想外の出来事があったり、病気になったりとかで思い描くゴールにはきっとたどり着けないと思っていて、そのちょっと近くまで行けたらいいな、ぐらいの気持ちでやってきました。

——その日その日を一生懸命生きているから、“沖に出る”(TBSをやめてフリーになる)決断ができたのでしょうか。私の場合、毎日が繰り返しのようになっていて変化を感じにくい人生を送っていることもあり、ここで沖に出るぞというタイミングを見極められそうにありません。沖に出るタイミングってどう見極めたらいいですか?

堀井:好きなことを選択し続けていくってことではないでしょうか。今、まわりの40代、50代もここからフリーになるという人が多くて。昔は一度レールから外れるともう戻れないっていう危機感が非常にあったので、企業から一旦抜けるってことはなかなかできなかったし、抜けるにしても必ず橋をかけてから渡ったんですけど、今はまず辞める人が多い。その人たちに話を聞くと、まず「これをやりたいから辞めた」みたいな感じなんですね。

私は、一度降りたり休んだりしても平気な社会になっていくといいなと思っていて。今それをエネルギーを持って仕事している人たちが地ならししてどんどんやっていっているように感じます。これがまたじわっと広がっていくといいな。一回休んでもまたちゃんと戻れるんだ、好きなことをするために、身軽に飛び出しても全然大丈夫って、どんどん好きなことができるといいですよね。

友達がいれば逃げてもなんとか生きていける

——やりたい気持ちを優先して仕事を辞めるのではなく、「やりたくないから」「逃げたいから」という気持ちで選択するケースもあると思いますが、それについてはどう思いますか?

堀井:逃げたいなら逃げたほうがいいですよね。「この環境でダメだったやつはほかに行ってもダメだ」「逃げてほかのところへ行っても、結局同じように逃げるだけ」ってよく言われますけど、逃げ続ける人生もあるし。

私は逃げる勇気もなかったので、たとえば子育てを力半分にして仕事に振り切るということはできなかった。それは自分で決めたことだからストレスではなかったんですけど、勇気がある人たちは羨ましかったですね。いずれにしろ、逃げることにマイナスなイメージはないです。

昔は耐え忍ぶことで事を成してきた人がたくさんいたし、それもひとつの方法ではあると思いますが、「今、絶対にこの難局を自分の精神を押さえつけてでも乗り切らなければ、己の真には近づけない……!」みたいなことはないですからね(笑)。苦しい足かせにかんじがらめになってもやり続けるという時代もあったと思うんですけど、今はもう本当に軽やかに。

——オノレのマコト!(笑)。逃げるとなると、それまでの人間関係を断ち切ることになりかねませんし、それが怖いというのもありませんか?

堀井:職場がほぼ生活のベースになっていると、逃げることで人間関係も断ちきれてしまう。うん。そういう面もありますよね。でも、友達がいれば逃げてもなんとか生きていけるんじゃないかという気もしていて。頼れる友達がいると、より身軽になれるのかなって思います。

——50代の友達についてお聞きしたいです。堀井さんには親友が4人いらっしゃって、そのうちひとりが(ジェーン・)スーさんで。

堀井:そうです。自分の本音や、つらくて泣いたりする姿を見せられるのは4人くらいですけど、いわゆる友達はもっとたくさんいますよ。子供たちが生活の中心のときはママ友と付き合うことがほとんどで、(TBSで)働いているときは仕事関係以外のお友達はあんまりいませんでしたね。それはどうしても生活の時間帯が違うとか、そのとき考えていることがまったく違うので、一緒にいてもお互い気を遣う感じがすごくあったからなんですけど。

スーちゃんがよく中高年になると「いろんな人が戻ってくる」って言うけど、私も自分自身、個人に戻ったし、今は年齢や属性や立場や肩書やグループとかのバイアス関係なしに個人で付き合える人が増えてラクになりました。みんな仲良くなれますよね。

あらゆるものをちゃんと見て死んでいきたい

——30代のころの友達は地獄を生き抜くためのセーフティネット、というようなことをおっしゃっていたと思うんですけど、50代になるとそれも変化しますか?

堀井:より、笑い飛ばせる関係になったかな。私の場合はセーフティネットとも違うんですよね。もちろん、何かあったら助けますけど、50になったら自分がちゃんとあるじゃないですか。なので、あんまり相互に支えあっていこうみたいなのはないし、すごいラクです。全然知らない人たちが集まってしゃべって、自由に自分の人生に戻っていくみたいな感じなのかな。

——他人のことを背負わない感じというか。

堀井:それがいいんでしょうね。結局もう、ひとりで死んでいくってわかってるから。私たち、死ぬ話とかよくしますよ。どうやって楽しく死んでいこうかっていう話を。

——たとえば?

堀井:子どもたちに看取られたくないよね、とか。どうやって明るく楽しく消えていくかっていう話で盛り上がりました。

——平均寿命と健康寿命の差が10年くらいあるっていうじゃないですか。つまり、楽しく死のうにも、健康上の理由で最期の10年くらいは寝たきりになってしまうかもしれないと。健康の意識も変わりましたか?

堀井:アミノバイタル飲んでます(笑)。

——あっ! 最近「OVER THE SUN」でよく取り上げられている……。こんど私たちの運営元が展開する生命科学関連のアイテムも互助会員さんにプレゼントしたいです。自腹でも配りたいです。ちょっとあとで、番組の営業さんに連絡させていただきますね……。

ライター・スダ:突然営業を始めないでください(苦笑)。

——すみません、インタビュアーの仕事を忘れそうになりました。

堀井:(笑)。でも、今はおかげさまで健康なので、あまり危機感がないんですよね。人生100年時代だから、あと50年生きるかもしれない。その一方で、50代や60代の知人や先輩方が亡くなったりもして、そういう歳でもあるので、「なんかやり残したことやろう」っていうモチベーションです。

あらゆるものをちゃんと見て死んでいきたいな、と思うんですよね。それはおいしい食べ物とか好きな映画とかただ自分の好きなことだけではなく、マイナスのことも全部含めて。たぶん、見えてないものがたくさんありすぎるから、それをちゃんと見ていきたいです。で、見るだけじゃなくて、せっかくこうやってお名前をいただけて何かしらツイートすれば賛同してくれる人がいたりとか、小金をちょっと持ってたりという立場にあるから、やることあるよねって話です。

——「伊奈タイム*」でいうと、50歳の今は夕方の16時半くらいですね。

*一生を1日の時刻でたとえるメソッド。自分の年齢を3で割ることで算出する。堀井さんが中学生のころ、伊奈かっぺいさんのラジオで聞いて感銘を受けたメソッドらしいが、伊奈さんは「俺は言ってない」とコメントしたそう。

堀井:16時半ならまだまだかな。もう家帰っておいしいもん作ろっかなみたいな。60歳になってごらんなさいよ。20時ですよ。20時って言ったらもう、ちょっと晩酌して寝るぐらいじゃないですか。

——全然、まだまだですよ。80歳で起業なさる方もいらっしゃるじゃないですか。最近は、老いの速度を遅らせたり、疲れない体づくりの研究も進んでいるようですから、人生の後半を着地ではなく、何かしらのスタートを切るタイミングに変えていけるかもしれないですよね。

堀井:そうですね。本当、人生っていつスタート切っても大丈夫ですからね!

(構成:須田奈津妃、撮影:西田優太、聞き手:安次富陽子)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 堀井美香さん、“沖に出る”タイミングを教えてください!|ウートピ - ウートピ )
https://ift.tt/Rjy3fcW
出る

No comments:

Post a Comment