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Wednesday, August 30, 2023

【Hothotレビュー】 ファンレスなのに風が出るってど~いうこと ... - PC Watch

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ZOTAC「ZBOX PI430AJ with AirJet」

 今年(2023年)5月に台湾で開催されたCOMPUTEX 2023のZOTACブースで、不思議なミニPCが展示された。それが「ZBOX PI430AJ with AirJet」だ。今回、そのサンプルを入手できたので、写真で紹介する。

 なお、今回入手したサンプルは開発初期段階の試作機だった。そのため、製品版とは仕様の異なる点が多く残されている可能性が高い。またOSは正常に動作していたが、試作機ということでベンチマークテストや各種動作チェックは行なえなかったので、その点はご了承いただきたい。今後、製品版を入手できた段階で改めて詳しく紹介したいと思う。

超音波振動でエアフローを発生し、1基で最大5.25Wの冷却性能を発揮

 まずはじめに、「ZBOX PI430AJ with AirJet」(以下、PI430AJ)に搭載される冷却モジュール「AirJet Mini」について簡単に紹介しておこう。

 AirJet Miniは、Frore Systemsが開発したソリッドステートアクティブ冷却システムだ。ファンレスながらエアフローが発生するという、不思議な仕組みを採用している点が最大の特徴となっている。

 AirJet Mini自体はサイズが27.5×41.5×2.8mmと小型かつ非常に薄いモジュールで、実物を見ても、このモジュールがエアフローを発生するとはにわかに信じがたい。

 AirJet Miniがエアフローを発生する仕組みは、モジュール内部に設置した薄膜を超音波振動させることによって実現しているという。

 薄膜を超音波振動させると、薄膜の上から下に向かって高圧の空気の流れが生み出される。それによりモジュール上部に用意されている吸気口から空気を吸い込み、モジュール後部の排気口から排出するエアフローが発生する。

PI430AJに搭載されているソリッドステートアクティブ冷却システム「AirJet Mini」。PI430AJではAirJet Miniを2基搭載し、約10Wの冷却能力を実現
AirJet Mini自体は27.5×41.5×2.8mmと小型かつ非常に薄いモジュールながら、ファンレスでエアフローを発生。上部のスリットが吸気口で、ここから空気を取り込む

 実際にPI430AJを動作させてみると、後部の排気口からかなり勢いのあるエアフローを確認できる。動画を見てもらうと分かるが、風車を勢いよく回転させられるほどで、手をかざすとしっかり熱気を排出できていることも確認できる。

 AirJet Miniには、1基で最大5.25Wの冷却能力が備わっているという。PI430AJでは、CPUに密着させた銅製のヒートスプレッダにAirJet Miniを2基装着し、ヒートスプレッダに伝わった熱をAirJet Miniのエアフローによって本体外に排出する。このPI430AJの冷却システムは、約10Wの冷却能力を実現しているとのこと。搭載するCore i3-N300のTDPは7Wなので、余裕を持って冷却できる計算だ。

 気になる動作音だが、ファンレスということで駆動音は当然ない。とはいえ無音というわけではなく、エアフローが発生するため風切り音は発生する。本体に耳を近づけると、シャーという風切り音が耳に届いてくる。ただ、その風切り音も非常に小さく、15cmほどの距離まで近付かないとほとんど聞こえない程度。通常の利用環境であれば、周囲の環境音にかき消されてしまうので、ほぼ無音と言っていいほど静かに利用できそうだ。

後部のスリットがAirJet Miniの排気口。ここから勢いよく空気が排出される
AirJet Miniのエアフローを発生する仕組み。モジュール内部に設置した薄膜を超音波振動させて薄膜の上から下に向かう高圧の空気の流れを生み出し、エアフローを発生する

AirJet Miniの排気口から勢いよく風が吹き出している様子

PI430AJ本体をチェック

 では、PI430AJ本体を見ていこう。主な仕様は表1にまとめたとおりだ。

【表1】ZBOX PI430AJ with AirJetの主な仕様
プロセッサ Core i3-N300
8コア・8スレッド/ブースト時最大3.8GHz
メモリ LPDDR5 8GB
内蔵ストレージ M.2 2280 SSD×1 PCIe 3.0x4対応
無線LAN IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6)
Bluetooth Bluetooth 5.2
インターフェイス USB 3.2 Gen2 Type-C(DisplayPort ALT Mode対応)
USB 3.2 Gen2 Typa-A×2
DisplayPort 1.4
HDMI 2.0
Gigabit Ethernet
microSDカードスロット
3.5mmオーディオジャック
OS Windows 11対応

 本体サイズは現時点では未公開のため、正確なところは分からないが、同社のミニPC「ZBOX Pシリーズ」とほぼ同等の、体積約0.18Lの筐体を採用しているという。サイズを実測してみたところ、幅が約115mm、奥行きが約76mm、高さが約24mmだった。

 筐体は金属製で、筐体からの放熱も考慮してか、天板部分にはヒートシンクのように細かな凹凸が設けられている。また左右側面は外気を取り込めるようにメッシュ構造となっている。

 正面には、電源ボタン、USB 3.2 Gen2 Type-C、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、microSDカードスロットを、背面には電源コネクタ、DisplayPort、HDMI、3.5mmオーディオジャック、有線LANポートをそれぞれ用意。正面のUSB Type-CはDisplayPort ALT Modeにも対応する。

正面に電源ボタン、USB 3.2 Gen2 Type-C、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、microSDカードスロットを配置。USB Type-CはDisplayPort ALT Mode対応
背面に電源コネクタ、DisplayPort、HDMI、3.5mmオーディオジャック、有線LANポートを配置
背面ポート上部のスリットが、AirJet Miniの排気口だ

 底面はネジ4本で開けられる。底面を外すと、内蔵ストレージ用のM.2スロットにアクセス可能。このM.2スロットはインターフェイスがPCIe 3.0x4対応で、フォームファクタはM.2 2280まで対応する。

底面を外すと内蔵ストレージ用M.2スロットにアクセスできる。インターフェイスはPCIe 3.0x4に、フォームファクタはM.2 2280まで対応

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