【ロサンゼルス=帯津智昭、後藤香代】ショック以上の感覚――。ドジャースの大谷翔平選手(29)は25日、違法賭博疑惑を巡り、元通訳・水原一平氏(39)が解雇されてから初めて、自身の言葉で心境や経緯を語った。20日に韓国・ソウルで行われた開幕戦後に水原氏と話し、自分の口座からブックメーカー(賭け業者)に送金されていたことを明かされたという。
大谷選手は硬い表情で、時折書面を見ながら12分間ほどかけて説明。「僕自身は何かに賭けたり、誰かに代わってスポーツイベントに賭けたり、頼んだりということはない。僕の口座からブックメーカーに対して、誰かに送金を依頼したことも全くない」と、口座から水原氏がお金を盗んだと強調した。
声明によると、水原氏は開幕戦後のミーティングで、ギャンブル依存症だったことや借金があることをチームに打ち明けた。その後、ホテルに帰って2人になった際、「口座に勝手にアクセスして、ブックメーカーに送金していた」ということを明かされたという。「これはおかしい」と思い、代理人や弁護士らに連絡。「窃盗と詐欺なので、警察当局に引き渡す」との報告を受けた経緯を説明した。
ゆっくりと丁寧に語る姿を見守ったデーブ・ロバーツ監督は「必要な全てを聞くことができたし、選手たちも同じように感じたはずだ」と受け止めた。
一方、米メディアによると、大谷選手の口座からブックメーカー側に少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が電信送金されたことが、連邦政府による捜査で判明している。この日、送金に使われた口座がどのように管理されていたかの言及はなく、米メディアは様々な反応を示した。
ドジャースタジアムの記者会見場で、大谷選手の目の前に座ったスポーツ情報専門サイト「ジ・アスレチック」のファビアン・アルダヤ記者は「とても強い主張だ。言ったことは正しいと思いたい。もしそうでないなら、異なる扉が開いてしまう」と印象を述べた。ロサンゼルス・タイムズのディラン・ヘルナンデス記者は「期待以上に語ってくれたが、水原氏はどうやって口座にアクセスできたのか、その答えが出るまで、この問題は収まらないだろう」との見通しを語った。
大谷選手にとって、20日に解雇された水原氏は、昨季まで在籍したエンゼルスでの6年間を含め、二人三脚で歩んできた存在。練習相手や送迎など公私にわたってサポートを受け、右肘や左膝の手術から復帰の過程も熟知している。声明の冒頭で「悲しいというか、ショックです」と切り出したが、終盤には「正直、ショックという言葉が正しいとは思わない。それ以上の、うまく言葉には表せないような感覚でこの1週間ぐらいはずっと過ごしてきた」と心境を吐露した。
声明発表後は、2番指名打者でエンゼルスとのオープン戦に出場。打席に入る度にファンから大きな歓声と拍手が送られた。観戦したロサンゼルス在住のハーメス・マドレッドさん(40)は「(声明を出したことで)リラックスしてプレーできるようになるはずだ」と気遣った。
スポーツファンが多く集まる東京都豊島区の居酒屋「バッカス」では26日夜、多くの客が店内のテレビで大谷翔平選手の声明発表の様子を報じるニュースに見入っていた。
店を訪れていた横浜市の会社員の男性(45)は「(水原一平氏が)なぜ大谷選手の口座から送金できたのか疑問は残ったが、大谷選手本人が賭博への関与を否定する説明をしたので安心した」と話した。
店主の樋口昌純さん(51)は「大谷選手は少し動揺している印象だった。たくさんのお客が大谷選手を心配している。これまで経験したことがない逆境かもしれないが、ファンを裏切らない活躍を見せてほしい」と期待した。
からの記事と詳細 ( 大谷選手声明、送金口座の管理に言及なし…米メディア「答えが出るまで問題は収まらず」 - 読売新聞オンライン )
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