年齢とともに記憶力や脳の処理スピードは低下し、「あれ」「それ」など言葉を思い出せないシーンが増えてくる。「これは、前頭前野の機能低下によるものですが、前頭葉を鍛えるような頭の使い方、いわゆる脳トレをすることで、機能低下に歯止めをかけられます。しかも、脳トレ効果は筋トレよりも現れやすいのです」と公立諏訪東京理科大学工学部教授の篠原菊紀さんは言う。実は脳トレは、日常のいろいろなシーンで実践が可能だ。今回は、「ちょっと意識を変える」ことで脳を鍛えるコツを教えてもらおう。
(写真はイメージ=123RF)
脳トレって効果ある? 「10年後も効果が持続」という研究報告も
年齢とともに、記憶や学習、言語などをとりまとめて判断する「前頭前野」や、記憶を引き出しに入れたり取り出したりする「海馬」、やる気にスイッチを入れる「線条体」といった脳の働きが低下することを前回(「脳を鍛えるのも『筋トレ』と同じ? 楽なルーティン作業では活性化しない」)は紹介した。
このような脳の老化に歯止めをかけるのが「脳トレ」。篠原さんは、特定の行動をしたときに活性化する脳の部位について調べ、それらをもとに「脳トレ」メソッドを開発している。
脳トレは確かに脳への刺激となりそうだが、本当に効果はあるのだろうか、と疑問も湧いてくる。「脳トレは、一般に認知トレーニングといわれ、その効果を検証する研究も行われています」(篠原さん)
米国で2832人を対象に認知トレーニングを行い、10年間の追跡調査を行った研究がある。被験者は、記憶(文章などを読みその内容を問われる)、推論(数列を予測する)、処理スピード(視覚的刺激にすばやく反応する)のうちいずれかの認知トレーニングを行う3つの群と、何もしない対照群に振り分けられ、3つの群は研究開始時と11カ月後、35カ月後にそれぞれのトレーニングを行った。10年後、何もしないグループに比べて、記憶、推論、処理スピードに関する認知トレーニングを受けた群はそれぞれのトレーニングに対応する認知機能が改善し、その効果は10年後も維持されていた(下グラフ)。
認知トレーニングの効果は10年後も持続した
「この研究で行われたトレーニングは1回につき60~75分のもの。日常における仕事や家事などでも、ややこしい手順を避けずに脳トレを意識して実践すれば、同様の刺激を脳に与えることができると考えます」(篠原さん)
前回記事でも解説したが「ルーティン化した作業」ではなく、一度に複数のタスクを行うような作業で脳は活性化する。複数のタスクが同時進行することは、通常の仕事や料理などの家事でも多くある。これらの日常作業でも脳への刺激は与えられるのだ。そして篠原さんは、刺激を与えることで脳は鍛えることができると言う。
「脳は筋肉よりも変化が速やかです。また、“脳も筋肉のように鍛えられる、使わなければ衰える”と言われますが、実は脳のほうが筋肉より早く変化するのです。例えば、脳トレの意味を理解し、何かの見方、感じ方を変えたとしたら、それはすでに脳のネットワークが変化したということ。筋肉の変化は一朝一夕にはいきませんが、脳の変化はもっと早い。そう考えると、上記の研究で、脳トレをする人、しない人で差が現れたこともうなずけます」(篠原さん)
からの記事と詳細 ( 脳トレは筋トレより効果が早く出る! 記憶の引き出しを鍛える3つのコツ - 日経Gooday )
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