奈良市のJR奈良駅前の飲食店で無職吉田直之さん=当時(47)=を店の包丁で刺し殺したとして、殺人の罪に問われた自称アルバイト従業員宍戸栄人被告(50)の裁判員裁判で、奈良地裁は2日、「怒りにまかせた短絡的な犯行の経緯や動機に特に酌むべきところはない」として懲役24年(求刑25年)の判決を言い渡した。

岩崎邦生裁判長は判決理由で「強い攻撃意思に基づく、凶暴かつ一方的で執拗(しつよう)な犯行」と指摘。「出所後、わずか6カ月余りでの犯行で、生命軽視の傾向は明らか」と述べた。

判決によると昨年9月6日夕、宍戸被告は吉田さんと飲食中、口論に。吉田さんの「表に出るか」などの言葉に激高し、調理場にあった刃渡り約18センチの出刃包丁で背中を刺すなどし、殺害した。

宍戸被告は事件当時「覚えていない」と容疑を否認しており、裁判では黙秘した。(共同)