ライバルにはない“米国”という強み
ただ、ステランティスが欧州とともに軸足を置く米国では、いささか様相が異なる。バイデン政権になって以降、中国対抗というもくろみから独自の電動化戦略を立ち上げており、これがステランティスも名を連ねる全米自動車労働組合(UAW)の合意を取り付けているのだ。
加えて、米国は石油や天然ガスの産出国ということもあり、昨今の欧州のようにエネルギー危機は起きていない。よって、今後もゼネラルモーターズとフォードはEVシフトを進め、またテスラに続くベンチャー勢力が次々に名乗りを上げていくことが予想される。欧州と違って政治と経済が一枚岩であるうえに、ロシアや中国の影響を受けない米国のほうが、EVシフトは順調に進んでいく可能性もあるだろう。
とはいえ米国における自動車の電動化戦略は、EVなどに加えてプラグインハイブリッド車も存続を認めるなど、欧州ほど過激な内容とはなっていないのも事実。ロシア制裁の影響で欧州のEVシフトが鈍化すれば、同マーケットでの施策が米国のレベルに近づき、両大陸に拠点を持つステランティスには追い風となるかもしれない。
その暁にはタバレスCEOは新しいメッセージを用意する必要がありそうだけれど、ここまでくるとさすがに想像が先走り過ぎというものだろう。いずれにせよ、この分野における各社の指針がしばらく流動的になるのは、しかたのないことである。僕たちも個々の発表を大げさに捉え過ぎず、広い目でカーボンニュートラルを眺めることが大切だろう。
(文=森口将之/写真=ステランティス、Newspress/編集=堀田剛資)
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