17日に富山市江本で女性が自宅の庭でクマに襲われ、亡くなって一夜明けた18日、現場周辺ではクマの痕跡が相次いで見つかった。住民からは「怖くて外に出られない」などの声が上がり、のどかな田園地帯に緊張感が漂った。付近の学校は登下校時に保護者に送迎してもらうなど対応に追われた。市や猟友会は付近をパトロールして警戒に当たったが、クマの行方は分からず、住民らは不安な一日を過ごした。
現場周辺は稲刈りが終わった田んぼが多く、高さ数メートルの屋敷林に囲まれた家が数十メートルほど離れて点在する。約1キロ南に熊野川が流れている。周辺の民家には、クマの餌となるカキの実った木が多くあった。調査に訪れた県の職員によると、屋敷林はクマの隠れ家になり得るという。
18日朝は現場周辺を警察車両などがパトロールした。住民は家の中から外をうかがうなどし、外を歩く人は少なかった。「恐ろしくて外に出られない」と町内会長の男性。「カキの木の伐採などを呼びかけなければいけない」と危機感を強めていた。
現場近くに住む無職男性(77)は亡くなった女性と近所付き合いがあり「何でも話せる人だった」としのんだ。17日深夜は警察官らがライトを照らしてクマを捜索したため明るかったと言い、「びっくりした。クマがここまで来るとは」と話した。
現場から200メートルほど南に住む女性(65)方では、17日午後6時ごろにクマが敷地内を通って塀をよじ登り、敷地外に出て行ったという。自身は気付かず、警察官から伝えられたといい「クマが近くを通っていくのは怖い。どこに潜んでいるかわからないのが不安」と話す。
一帯の田んぼや畑にはクマのものとみられる足跡が多数見つかった。女性宅から約2・1キロ北西に離れた熊野小近くの悪王寺北の交差点では17日深夜、クマと車の接触事故があった。運転手にけがはなかった。クマは車の側面にぶつかり、そのまま逃げたとみられる。女性を襲ったクマかは分かっていない。
車の事故現場に近い熊野公民館を訪れた男性は「草刈りをしようと思っていたが、クマの出没情報が多くて控えた。周囲も外に出るのはやめたと聞いた」と周囲の緊張感を語った。
県や市の職員、富山南署員、猟友会員らが早朝から日没までパトロールを続けたが、女性を襲ったクマは見つからなかった。猟友会の50代男性によると、クマの出没エリアが広く、潜んでいる場所が分からないため、わなを仕掛けられないという。「出没頻度が高い場所を絞り込み、駆除につなげたい」と語った。
新田知事「心からお見舞い」
富山市江本の住宅敷地内で女性が熊に襲われ亡くなったことについて、新田八朗知事は18日、「大変痛ましく、ご遺族には心からお見舞い申し上げる」と述べた。19日の緊急対策会議でさらなる対応策を示す考えを明らかにした。
滋賀県甲賀市で開かれた中部圏知事会議の終了後、取材に答えた。「家の庭先でということで、地域住民は本当に不安だと思う」と話し、パトロール強化や情報の周知徹底を関係部署に指示したと述べた。
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