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Sunday, March 1, 2020

EVスタートアップの明暗分けた、「日本を出る勇気」 - 日経ビジネス電子版

全2650文字

 「またEVの開発を再開するか? 今は考えていません」――。

 2010年代、日本でも数多く旗揚げされた電気自動車(EV)スタートアップ。だが、大手メーカーがひしめく自動車産業の中で成功を収めた企業は数少ない。rimOnO(リモノ、東京・中央)の伊藤慎介社長も、日本の交通課題を解決しようという思いでEVベンチャーを立ち上げた1人だ。

リモノのコンセプトカーに乗り込む伊藤慎介社長

 時速45km以下でゆっくり走る、ボディーが布製で人に優しいなど、ユニークな特徴を持つ2人乗りの超小型EVを2016年に開発。ただ、公道を自由に走ることができないといった法制度の壁に阻まれ、現在は開発をストップしている。

 経済産業省出身の伊藤社長。経産省では自動車課に配属され、EVタウン構想やスマートコミュニティー構想など国家プロジェクトに携わっていた。ただ、プロジェクトを立案しても部署内の異動で自分の手を離れてしまうなど、「当事者」として最後までやり切ることができない環境に物足りなさを感じていたという。「自分の手で事業をやってみたい。ハンズオン感が欲しかった」──。そう考えて14年に経産省を退官し、リモノを立ち上げた。

 自動車産業に関わっていたとはいえ、クルマの開発は全くの素人。「系列」の仕組みが色濃いサプライヤーから部品を調達するのにも苦労したが、三井化学や帝人フロンティアなどの開発協力を得てなんとかコンセプトカーを完成させた。

 発表後、商品化を求める地方からの声も多かったという。ただ、国土交通省の定める「超小型モビリティ」の規格では、走行許可を得ても市町村をまたいで走ることができないなど、社会実装をさせるための制度づくりがなかなか進まない。事業化のめどが立たない中、駆け出しのスタートアップに制度改正までの時間を待つ体力は残っていなかった。

 伊藤社長は「日本はPL(損益計算書)思考で、やってみないと成果が見えにくいビジネスの実験がしにくい」とし、海外に比べ日本でイノベーションが生まれにくい背景に、制度や規制に対する考え方の違いがあると振り返る。

 例えば、米ロサンゼルスなどでは電動スクーターを乗り捨てるシェアリングサービスが急速に普及し、後を追うようにサービスとの共存を前提とした規制が作られた事例もある。「制度をつくるにしても、現場を理解しなければ本当に使い込めるものにはならない」(伊藤社長)。EV開発を中止した現在は、地方の交通課題を解決するためのコンサルティング業に精を出す。

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