沖縄県の玉城デニー知事は24日の県議会2月定例会代表質問で、秋に予定される知事選について、当初予定していた2期目の立候補を表明しなかった。「家族からの理解、後援会の協力なども得ながら熟考するが、まずは掲げた公約の実現に向けて残りの任期、全力を尽くしていく」と述べるにとどめた。9月の任期まで公約の実現に注力すると強調してきた従来の発言からは前進した格好だが、言及しなかった背景を与党幹部は「野党から批判を浴びないためだ」と解説する。
■野党けん制
この日は代表質問2日目。与党の座長を務める会派「てぃーだ平和ネット」代表の瑞慶覧功氏は「9月に予定される知事選に向け、率直な気持ちを伺う」と質問した。
知事は代表質問初日の22日、野党の自民党会派から同趣旨の質問を受けた際に「あらゆる公約の実現に向けてまず任期をしっかり全うするよう、全力を尽くしていきたい」と明言を避けていた。
与党幹部は「知事は答弁に与野党間で差があってはならないと、相当気を配っている」と明かす。
「もし、与党の質問にだけ考えを述べるのであれば、動議も辞さない構えだ」。自民のある県議は、与党の代表質問直前、こうけん制していた。知事が表明しなかったことで、ある幹部はしたり顔で「知事は出る気があるのか? 6月議会でも確認したい」と話す。
■知事の判断
一方の与党県議は「自民は知事選の候補者選定が遅れており、知名度の高い知事の出馬表明をできるだけ遅らせたいはず。余裕がないのだろう」と、野党の揺さぶりを気にも留めない。
県議会は最大会派が最初に代表質問する決まり。野党の自民が最多の19人で、与党の最多はてぃーだ平和ネットの8人。次回の6月定例会も、自民がトップバッターで質問する。
与党幹部は「知事の判断は賢明。6月定例会までに、会見なりで表明すればいい話で、問題はない。与党としてしっかりサポートしていきたい」と話した。
玉城知事は24日の代表質問後、本紙取材に応じた。立候補について「最終的に決めたわけではなく、いろいろと相談中だ」と強調。表明場所については「表明するかを決めてからだ」とした上で「状況をみながら、どうするのかを最終的に決めないといけない」と述べた。
(政経部・山城響)
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